
- 外壁塗装のDIYって自分でもできるのかな?
- どんな道具や塗料をそろえればいいんだろう?
- 失敗しないための正しい手順やポイントが知りたい
こんな悩みにお答えします。
外壁塗装をDIYで行うと、業者に頼むよりも費用を抑えられる可能性がグッと高まります。
しかし、正しい手順や方法を知らないまま進めてしまうと、見た目が悪くなるだけでなく、かえってお金がかかるなど、失敗につながることも少なくありません。
そこで、この記事では以下の内容を解説します。
- 外壁塗装のDIYにおけるメリット・デメリット
- 外壁塗装DIYの前に!必要な道具リスト
- 【塗料選びの基本】下塗り・上塗りの種類と特徴
- 【完全ガイド】外壁塗装をDIYするための10ステップ
- 外壁塗装DIYで失敗しないための3つの重要ポイント
- 【危険】高所作業は安全第一で行おう!
- 外壁塗装のDIYで『足場なし』をおすすめしない理由
この記事を最後まで読めば、外壁塗装をDIYで成功させるための具体的な手順や方法、そして失敗しないための重要なポイントがすべてわかります。
網羅的に解説していますので、まったくのDIY初心者の方も必見の内容です。
ぜひ参考にして、安全で満足のいくDIYに挑戦してくださいね。
外壁塗装のDIYは可能?まずはメリット・デメリットを理解しよう!
結論から言うと、外壁塗装を自分でDIYすることは可能です。
しかし、専門の業者が行う作業を一般の人が行うには、それなりの知識と準備が求められます。
なぜならDIYには、費用を抑えられるといったメリットがある一方で、危険が伴ったり、仕上がりが悪くなったりする可能性といったデメリットも存在するからです。
まずは、これらのメリット・デメリットを正しく理解し、本当に自分でできるのかを冷静に判断することが重要です。
安易にDIYを始めてしまうと後悔する結果になりかねないため、計画的に進めましょう。
DIYで外壁塗装を行う3つのメリット
外壁塗装をDIYで行うことには、大きく分けて3つのメリットがあります。
- ①費用を抑えられる
- ②悪徳業者に騙されなくて済む
- ③好きなタイミングで塗装できる
最も大きな魅力は、業者に依頼する場合と比較して、人件費がかからないため費用を大幅に抑えられる点です。
また、自分の手で自宅をメンテナンスすることで、建物への理解が深まり、より一層愛着が湧くという精神的な満足感も得られるでしょう。
それぞれのメリットについて、深掘りして解説します。
①費用を抑えられる
外壁塗装をDIYで行う最大のメリットは、費用を大幅に節約できる点です。
業者に依頼した場合、30坪程度の住宅では100万円前後の費用がかかることもありますが、DIYであればその半分以下の費用に抑えられる可能性があります。
費用の内訳は主に塗料代と道具代です。以下のような道具は、ホームセンターなどで購入できます。
- 下塗り用のシーラー
- 上塗り塗料
- 高圧洗浄機
- ローラー
- 刷毛
ただし、業者に頼む場合と比べて、仕上がりの質や作業の安全性には差が出るというデメリットも理解しておく必要があります。
費用だけでなく、総合的に判断することが大切です。
②悪徳業者に騙されなくて済む
外壁塗装を検討するときの業者選びは非常に重要ですが、中には手抜き工事を行ったり、不当に高い金額を請求したりする悪徳業者がいるのも事実です。
専門的な知識がないと、良い業者を見極めるのは難しい場合があります。
その点、DIYであれば、塗料の選定から実際の作業まで、すべて自分自身で管理するため、悪徳業者に騙される心配は一切ありません。
自分で材料を選び、自分の手で作業を進めることで、費用の透明性が確保され、納得のいくリフォームが実現できます。業者とのやり取りに不安を感じる人にとっては、大きな安心材料となるでしょう。
③好きなタイミングで塗装できる
専門業者に外壁塗装を依頼する場合、工事スケジュールは業者の都合に合わせる必要があります。
特に塗装工事が集中する季節には、希望日程で予約が取れないことも少なくありません。
しかし、DIYであれば、自分の仕事の休みや天候の良い日など、好きなタイミングで作業を開始し、自分のペースで進められます。業者との打ち合わせや日程調整といった手間もかからないため、思い立った時にすぐ取り組める点は大きなメリットです。
自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に計画を立てられるのがDIYの魅力と言えます。
知っておくべきDIYの4つのデメリット
外壁塗装のDIYには多くのメリットがある一方で、始める前に必ず知っておくべきデメリットも存在します。
具体的には、以下の4つのデメリットを押さえておきましょう。
- ①時間と手間がかかる
- ②危険が伴う
- ③塗装不良を起こしやすくなる
- ④失敗するリスクがある
専門的な知識や技術がないまま作業を行うと、塗装にムラが生じたり、塗膜がすぐに剥がれたりするなど、プロの仕上がりには及ばない可能性が高くなりがち。
また、不適切な下地処理は、かえって外壁の劣化を早める原因にもなりかねません。さらに、高所での作業には転落などの危険が伴います。
これらのデメリットを軽視すると、時間や費用を無駄にするだけでなく、大きな事故につながる恐れもあるため注意が必要です。
①時間と手間がかかる
外壁塗装は、プロの職人がチームで行っても数週間を要する大掛かりな作業です。
これを一人、または少人数で、しかも作業に不慣れな素人が行う場合、想像以上の時間と手間がかかることを覚悟しなければなりません。
後述しますが、外壁塗装には以下のような多くの工程があり、それぞれの工程間で塗料の乾燥を待つ時間も必要です。
- 洗浄
- 養生
- 下地処理
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
特に、週末しか作業できない場合は、すべての作業を終えるのに数ヶ月かかることも珍しくありません。根気と体力、そして長期的な計画性が求められる作業です。
②危険が伴う
外壁塗装の作業には、高所での作業がつきものであり、常に危険が伴います。
特に2階建て以上の住宅では、はしごや脚立での作業だけでは限界があり、安全な作業スペースを確保するためには足場の設置が不可欠です。
しかし、足場の組み立ては専門的な資格が必要な危険な作業であり、個人で行うことはできません。不安定な足場での作業は、転落による重大な事故につながるリスクも非常に高まります。
安全対策が不十分なまま高所作業を行うことは絶対に避けるべきであり、少しでも危険を感じる箇所の塗装は、無理せず専門業者に依頼しましょう。
③塗装不良を起こしやすくなる
外壁塗装の品質は、塗装前の下地処理で決まると言っても過言ではありません。
ひび割れの補修や古い塗膜の除去、汚れの洗浄といった下地処理が不十分なまま塗装すると、新しい塗料がすぐに剥がれたり膨れたりする原因となります。
特に、外壁の劣化が深刻な場合、その補修には専門的な知識と技術が求められます。
自分で行った処理が不完全だと、そこから雨水が浸入し、住宅の構造自体を傷めてしまうことにもなりかねません。
塗装不良は見た目の問題だけでなく、家の寿命にも影響するため、下地処理の重要性を十分に理解する必要があります。
④失敗するリスクがある
DIYでの外壁塗装には、失敗のリスクが常につきまといます。
なぜなら、塗料の選択を間違えたり、正しい手順で作業しなかったりすると、色ムラや液だれができてしまい、見栄えが悪くなることがあるからです。
もし失敗して塗り直しが必要になった場合、一度塗った塗膜を剥がす作業から始めなければならず、余計な手間と時間がかかります。
さらに、塗料を買い直す費用も追加で発生するため、結果的に業者に依頼するよりも高くついてしまう可能性も否定できません。
DIYのメリットである費用削減効果を失わないためにも、手順をしっかり確認し、少しでも不安な箇所は無理せず専門業者に相談することをおすすめします。
外壁塗装DIYの前に!必要な道具リスト
外壁塗装をDIYで成功させるためには、事前の道具の準備が非常に重要です。
作業を始めてから「あれがない、これがない」となると、作業が中断してしまい、効率も仕上がりも悪くなるからです。
代表的な道具は、以下を参考にしてみてください。
- 高圧洗浄機
- 各種ブラシ
- 刷毛(ハケ)
- ローラー
- 塗料を入れるバケツ
- 養生用のマスカーテープやビニールシート
- ひび割れ補修用のコーキング材
- 中性洗剤
- サンドペーパー
- 下塗り塗料
- 上塗り塗料
これらの必要な道具の多くは、ホームセンターで揃えられます。
洗浄や養生、下地処理、塗装といった各工程で必要となる道具を事前にリストアップし、すべて揃っているか確認してから作業を始めましょう。

【塗料選びの基本】下塗り・上塗りの種類と特徴
外壁塗装の仕上がりと耐久年数は、どのような塗料を選ぶかで大きく変わります。
塗料は大きく分けて、外壁材と上塗り塗料を密着させる「下塗り塗料」と、実際に色を付けて外壁を保護する「上塗り塗料」の2つに分類され、それぞれに多くの種類と特徴があります。
特にDIYにおいては、シンナーなどの有機溶剤を使わない水性塗料が、臭いも少なく安全性が高いためおすすめです。
それぞれの塗料の役割と特性を正しく理解し、自宅の外壁の種類や状態に合った塗料を選ぶことが、塗装を成功させるための鍵となります。
塗装の密着性を高める『下塗り塗料』
下塗り塗料は、外壁塗装において縁の下の力持ちのような存在です。
その主な役割は、劣化した外壁材に上塗り塗料が過剰に吸い込まれるのを防ぎ、塗装面と上塗り塗料を強力に接着させることです。
この下塗りを省略したり、不適切な塗料を使ったりすると、上塗り塗料が本来の性能を発揮できず、色ムラや早期の剥がれといった不具合の原因となります。
代表的な下塗り塗料には「シーラー」と「フィラー」の2種類があり、外壁の材質や劣化の度合いによって適切に使い分けることが、塗装を長持ちさせるための重要なポイントです。
シーラー
シーラーは、上塗り塗料の密着性を高めるために使われる下塗り塗料です。
英語の「seal」が語源で、劣化した外壁材の表面を固め、上塗り塗料が吸い込まれるのを防ぐ役割があります。液体はサラサラとしており、ローラーや刷毛で塗りやすいため、DIYでの使用にもおすすめです。
シーラーには臭いの少ない水性と、乾燥が速く密着性の高い油性があります。
外壁の劣化がそれほど激しくない箇所に適しており、塗装の仕上がりを均一にするために不可欠な下塗り材です。
使用する上塗り塗料との相性も確認して選びましょう。
フィラー
フィラーは、英語の「fill(埋める)」が語源の通り、外壁表面の細かいひび割れや凹凸を埋めて、平滑な下地を作るための下塗り材です。
シーラーよりも粘度が高く、厚みをつけて塗ることができるのが特徴です。特に、経年劣化でひび割れしやすいモルタル外壁の下地処理に適しています。
フィラーを使うことで、凹凸のある表面をなめらかに整え、上塗りの仕上がりを美しく見せることができます。
ただし、粘度が高いため均一に塗るのが難しく、扱いには技術を要するため、DIYでの使用はあまりおすすめできません。深刻なひび割れがある場合は、専門業者に相談するのが賢明です。
外壁の美観と耐久性を決める『上塗り塗料』
上塗り塗料は、外壁塗装の仕上げとして塗られ、建物の見た目を決定づけるだけでなく、紫外線や雨風といった過酷な自然環境から家を守る最も重要な役割を担っています。
この上塗り塗料の性能によって、外壁の耐久性が決まります。
塗料は、主成分である合成樹脂の種類によってグレードが分かれており、それぞれ価格や耐久年数が異なります。塗料の表面に特殊な機能を持たせたものもあります。
自分の家の環境や予算、そしてどのくらいの期間、美観と保護機能を維持したいかを考え、最適な塗料を選ぶことが大切です。
主に上塗り塗料として使用される、塗料の種類についてくわしく解説します。
アクリル塗料
アクリル塗料は、数ある塗料の種類の中で最も価格が安いというメリットがあります。
発色が良く、色のバリエーションも豊富なため、手軽にイメージチェンジしたい場合に適しています。また、扱いやすさからDIY初心者でも比較的簡単に塗装できるのが特徴です。
しかし、その最大のデメリットは耐久性の低さです。紫外線に弱く、耐用年数は5~7年程度と他の塗料に比べて短いため、頻繁な塗り替えが必要になります。
長期的な視点で見ると、塗り替えの回数が増えるため、結果的にコストが高くつく可能性も。
現在は、外壁塗装の主流ではなくなっています。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、塗膜が柔らかく、密着性と伸縮性に優れているのが特徴です。
この性質により、建物の動きや素材の収縮に追従しやすく、ひび割れが起こりにくいというメリットがあります。価格はアクリル塗料より高く、シリコン塗料よりは安価で、かつては外壁塗装で広く使われていました。
しかし、アクリル塗料と同様に紫外線に弱いという弱点があり、耐用年数は7~10年程度とされています。
現在では、より耐久性が高くコストパフォーマンスに優れたシリコン塗料が主流となったため、ウレタン塗料が外壁塗装で選ばれる機会は減っています。
シリコン塗料
シリコン塗料は、現在の外壁塗装において最も広く使われている、いわば「定番」の塗料です。
その人気の理由は、耐久性と価格のバランスが非常に良い点にあります。耐用年数は10~15年程度と比較的長く、耐水性や耐熱性にも優れています。
また、塗膜が硬く汚れが付着しにくいという特徴があり、建物の美観を長期間保つことができます。水性タイプも多く、臭いが少なく扱いやすいため、DIYにも適した塗料です。
どの塗料を選べば良いか迷ったときは、まずこのシリコン塗料を検討するのが良いでしょう。
ラジカル塗料
ラジカル塗料は、塗膜を劣化させる原因となる「ラジカル」というエネルギーの発生を抑制する技術を取り入れた、比較的新しいタイプの塗料です。
従来の塗料は、紫外線などが当たることでラジカルが発生し、それが塗膜の成分を破壊することで劣化が進行していました。
ラジカル塗料は、この劣化のメカニズムに着目し、ラジカルの発生を抑えることで、長期間にわたって塗膜の性能を維持します。
価格帯はシリコン塗料と同等か少し高めですが、耐久性はシリコン塗料以上とされており、コストパフォーマンスの高さから近年急速に普及しています。
フッ素塗料
フッ素塗料は、一般住宅向けの塗料の中では最高クラスの耐久性を誇ります。
主成分であるフッ素樹脂は非常に安定した結合を持っており、紫外線や酸性雨に対して抜群の強さを発揮します。その耐用年数は15~20年と非常に長く、一度塗装すれば長期間にわたって塗り替えの必要がありません。
また、汚れが付着しにくい「低汚染性」や、カビ・藻の発生を防ぐ「防カビ・防藻性」にも優れています。
ただし、塗料の価格が他の種類に比べてかなり高いため、初期費用は大きくなります。
そのため、一般の住宅で使われることは少なく、大規模なビルや商業施設での採用が多いです。
外壁塗装における2種類の工法
外壁塗装には、塗料を壁に塗るための方法として、主に「ローラー工法」と「吹き付け工法」の2種類があります。
ローラー工法は、その名の通りローラーや刷毛を使って手で塗っていく、昔ながらの方法です。一方の吹き付け工法は、スプレーガンのような専用の機械を使い、塗料を霧状にして壁に噴射します。
DIYで外壁塗装を行う場合は、特別な機械が不要で、塗料の飛散が少ないローラー工法が一般的です。
それぞれの工法にメリットとデメリットがあるため、特徴を理解しておくことが大切です。
ローラー工法
ローラー工法は、ローラーや刷毛を用いて手作業で塗料を塗り広げる、最も一般的な塗装方法です。
特別な機械を必要としないため、DIYでも手軽に取り組めるのが大きなメリットです。また、塗料が周囲に飛び散る可能性が低いため、養生が比較的簡単で、近隣への配慮もしやすいです。
手塗りであるため塗料を厚く塗ることができ、耐久性の高い塗膜を形成しやすいというメリットもあります。
デメリットとしては、吹き付け工法に比べて作業に時間がかかることや、均一に塗らないとローラーの跡が残りやすい点が挙げられます。
丁寧な作業が仕上がりを左右します。
吹き付け工法
吹き付け工法は、スプレーガンという専用の機械で塗料を霧状にして外壁に吹き付ける施工方法です。
広範囲をスピーディーかつ均一に塗装できるため、作業効率が高いのが最大のメリットです。また、ローラーの跡が残らず、滑らかで美しい仕上がりを実現できます。
しかし、塗料が霧状になって広範囲に飛散するため、近隣の建物や車を汚さないよう、大規模な養生が必須となります。
さらに、専門的な機材が必要で、塗料を薄めて使用するため、規定の膜厚を確保する技術が求められます。
これらの理由から、吹き付け工法はDIYには不向きで、主に専門業者が行う工法とされています。
塗料を塗るときの3つの注意点
塗料を塗る作業は、外壁塗装の仕上がりを直接決定づける重要な工程です。
ただやみくもに塗るのではなく、いくつかの基本的な注意点を守ることで、プロのような美しい仕上がりを目指すことができます。
具体的には、以下の3点に注意しましょう。
- ①塗料は上の方から均一に塗る
- ②分量と時間をきちんと計る
- ③塗り残しの修正は塗装が完全に乾燥してからにする
これらのルールを守らないと、せっかくの塗装がムラだらけになったり、すぐに剥がれてしまったりする可能性があります。
これから説明する3つの注意点を必ず守り、丁寧な作業を心がけましょう。
①塗料は上の方から均一に塗る
塗装作業を行う際の基本的なルールは、「上から下へ」塗ることです。
高い場所から塗り始めることで、万が一塗料が垂れてしまっても、これから塗装する部分なので塗りムラにならずに済むからです。
もし下から塗り始めると、きれいに塗れた箇所に上から垂れた塗料が付いてしまい、修正する手間が増えてしまいます。
また、一度に広範囲を塗ろうとせず、壁面をいくつかのブロックに分け、一つのブロックを均一に塗り終えてから次に移るようにすると、きれいに仕上げることができます。
作業を始める前に、全体の塗装の順番を計画しておくとスムーズに進められます。
②分量と時間をきちんと計る
外壁塗装では、塗料メーカーが指定する塗料の分量(塗布量)と乾燥時間を厳守することが非常に重要です。
塗料は、厚く塗れば塗るほど良いというわけではありません。というのも、一度に厚く塗りすぎると、表面だけが乾いて中が生乾きの状態になり、ひび割れや縮みの原因となるからです。
また、塗料の性能を最大限に引き出すためには、下塗りと上塗りの間の乾燥時間(インターバル)をきちんと守る必要があります。
乾燥が不十分なまま次の工程に進むと、塗膜同士がうまく密着せず、早期の剥がれにつながります。
美しい仕上がりと本来の耐久性を得るために、製品の仕様書をよく確認しましょう。
③塗り残しの修正は塗装が完全に乾燥してからにする
塗装作業中に塗り残しやムラを見つけても、焦ってすぐに触ってはいけません。
塗料が乾きかけている状態で修正しようとすると、半乾きの塗膜がよれたり剥がれたりして、かえって見た目を損なう原因になるからです。
塗り残しの修正は、塗装面が完全に乾燥してから行うのが鉄則。
塗料がしっかりと乾いた後であれば、小さな刷毛などを使って、気になる部分だけを丁寧に塗り足すことで、目立たずにきれいに修正できます。
乾燥時間は天候や湿度によっても変わるので、塗料の仕様書を確認し、十分な時間を確保するよう心がけましょう。
【完全ガイド】外壁塗装をDIYするための10ステップ
外壁塗装のDIYを成功させるためには、正しい手順に沿って作業を進めることが不可欠です。
なぜなら、行き当たりばったりで作業をすると、失敗の原因になったり、無駄な手間が増えたりするからです。
準備から後片付けまでの一連の工事の流れをあらかじめ理解しておくことで、手際よく、かつ安全に施工を進めることが可能です。
ここでは、プロの業者も行う基本的な塗装工程を、DIY向けに10のステップに分けて具体的に解説します。
- 【ステップ1】足場の設置
- 【ステップ2】高圧洗浄機で外壁の汚れを除去
- 【ステップ3】塗料の飛散を防ぐための養生
- 【ステップ4】ひび割れなどを下地処理で補修
- 【ステップ5】塗料の密着度を上げる下塗り
- 【ステップ6】1回目の上塗りとなる中塗り
- 【ステップ7】仕上げの工程である上塗り
- 【ステップ8】塗装が乾いたら養生を除去
- 【ステップ9】足場の解体
- 【ステップ10】後片付けと最終チェック
外壁塗装をDIYする際は、この流れをしっかりと頭に入れ、一つ一つの作業を丁寧に行うことが肝心です。
【ステップ1】足場の設置
2階建て以上の家の外壁を安全かつきれいに塗装するためには、足場の設置が不可欠です。
足場があることで、高所でも両手が自由に使える安定した状態で作業ができ、仕上がりの品質向上にも大きく貢献するからです。
しかし、足場の組み立てや解体は、専門的な知識と技術を要する危険な作業であり、法律で資格が必要とされています。
そのため、DIYで塗装を行う場合でも、足場の設置と解体だけは専門の業者に依頼するのが一般的です。安全を最優先に考え、無理に自分で組もうとせず、プロに任せましょう。
【ステップ2】高圧洗浄機で外壁の汚れを除去
足場の設置が終わったら、次に高圧洗浄機を使って外壁の汚れを徹底的に洗い流します。
外壁の壁面には、長年の間に蓄積したホコリ、排気ガスによる油汚れ、コケ、カビといった様々な汚れが付着しているからです。
これらの汚れが残ったまま塗装すると、塗料がうまく密着せず、数年で剥がれてしまう原因となります。
高圧洗浄機を使えば、人の手では落としきれない細かな汚れまで効率的に除去できます。
洗浄後は、壁面が完全に乾くまで十分な乾燥時間を設けることが重要です。通常、天候にもよりますが1〜2日は乾燥させましょう。
【ステップ3】塗料の飛散を防ぐための養生
養生とは、塗装しない部分に塗料が付かないように、ビニールシートやマスキングテープで覆って保護する作業です。
具体的には、以下のような箇所が対象となります。
- 窓ガラス
- サッシ
- 玄関ドア
- 雨どい
- 給湯器
- 換気扇フード
また、地面に敷かれている犬走りや、近くにある植木、車なども、必要に応じてシートで覆いましょう。
この養生作業を丁寧に行うかどうかが、仕上がりの美しさを大きく左右します。少し手間のかかる地味な作業ですが、ここを丁寧に行うことで、後の塗装作業をスムーズに進めることができます。
テープとビニールが一体化した「マスカー」という道具を使うと効率的です。
【ステップ4】ひび割れなどを下地処理で補修
下地処理は、外壁塗装の耐久性を決める最も重要な工程と言っても過言ではありません。
高圧洗浄が終わった後、外壁の状態をよく確認し、ひび割れ(クラック)や古い塗膜の剥がれなどを補修していきます。小さなひび割れは、コーキング材を充填して埋めます。
サイディングの目地にある古いコーキングが劣化している場合は、カッターで切れ目を入れて撤去し、新しいコーキング材を打ち直します。
また、塗膜が浮いたり剥がれたりしている箇所は、ヘラや皮スキといった道具で除去し、段差ができないようサンドペーパーでなめらかに整えます。
【ステップ5】塗料の密着度を上げる下塗り
下地処理が終わったら、いよいよ塗装の工程に入ります。最初に行うのが、下塗りです。
下塗りには、この後の工程で塗る上塗り塗料と外壁材を強力に接着させる接着剤のような役割があります。
また、劣化した外壁材が上塗り塗料を吸い込みすぎるのを防ぎ、色ムラのない均一な仕上がりを実現する役割も担っています。
この下塗りを省略すると、どんなに高価な上塗り塗料を使っても、その性能を十分に発揮できず、数年で剥がれてしまう原因となります。
家の耐久性を高めるための重要な工程なので、塗り残しがないように丁寧に塗装しましょう。
【ステップ6】1回目の上塗りとなる中塗り
下塗り塗料が仕様書通りの時間をかけて完全に乾いたら、次に「中塗り」を行います。
中塗りは、上塗り工程の1回目にあたり、仕上げの色となる塗料を使って塗装する作業です。この工程の主な目的は、塗膜に十分な厚み(膜厚)を持たせることです。
塗料メーカーが想定する耐久性を発揮させるためには、規定の膜厚を確保することが不可欠です。
中塗りを丁寧に行うことで、下地の色を完全に覆い隠し、この後の上塗り(仕上げ塗り)での色ムラを防ぐ効果もあります。
住宅の美観と保護機能を高めるために、省略せずに必ず行いましょう。
【ステップ7】仕上げの工程である上塗り
中塗りの塗装が終わり、塗料が十分に乾燥したら、塗装の最終工程である「上塗り」を行います。
上塗りは仕上げ塗りとも呼ばれ、中塗りと同じ塗料をもう一度塗り重ねる作業です。この工程により、塗膜の厚みをさらに均一にし、塗りムラや塗り残しをなくして、美しい見た目に仕上げます。
また、塗膜の厚みをしっかりと確保することで、紫外線や雨風に対する抵抗力を最大限に高め、塗料が持つ本来の耐久性を引き出します。
一軒家の美観を最終的に決定づける重要な作業なので、細部まで注意を払い、丁寧に仕上げましょう。
【ステップ8】塗装が乾いたら養生を除去
すべての上塗り作業が完了し、塗装面が指で軽く触れても塗料が付かない程度に乾いたら、養生を剥がしていきます。
このとき、塗料が完全に乾ききる前に行うのがきれいに仕上げるコツです。
なぜかと言うと、塗料がカチカチに乾燥してしまうと、養生のテープを剥がすときに塗膜の端も一緒にパリパリと剥がれてしまう恐れがあるからです。
塗料で汚れた養生シートやテープは、各自治体のルールに従って適切に処分しましょう。
養生を剥がすことで、新しく生まれ変わった外壁の全体像が見え、達成感を味わえる瞬間です。塗り残しやはみ出しがないかも確認しておきましょう。
【ステップ9】足場の解体
塗装作業と養生の除去、そして仕上がりの最終チェックが完了したら、いよいよ最後の工程である足場の解体です。
この作業は、設置を依頼した専門の業者に連絡して行ってもらいます。
解体作業も設置時と同様に、大きな音が出たり、作業車両が周辺の道路に停車したりすることがあります。トラブルを避けるためのポイントとして、事前に近隣の方々へ作業日時を伝え、挨拶をしておくと良いでしょう。
足場がなくなると、建物の全体像がはっきりと見え、リフォームの完成を実感できるはずです。
解体時に外壁を傷つけないよう、業者の作業を見守ることも大切です。
【ステップ10】後片付けと最終チェック
足場の解体が終わったら、作業の総仕上げとして、後片付けと最終チェックを行います。
家の周りに落ちているゴミや養生の切れ端、使い終わった塗料の缶などをきれいに清掃しましょう。特に、塗料が地面に垂れてしまった箇所がないか確認し、あればスクレーパーなどで削り取ります。
片付けが終わったら、建物全体をあらゆる角度からもう一度見渡し、塗り残しや傷がないか最終的なチェックをします。足場がある時には見えにくかった箇所にも注意を払いましょう。
近隣の方々にも、工事中の協力への感謝を伝えることで、良好な関係を保つことができます。
外壁塗装DIYで失敗しないための3つの重要ポイント
外壁塗装のDIYは、解説した手順通りに進めても、いくつかの重要なポイントを押さえていないと失敗につながることがあります。
特に、仕上がりの美しさと、塗装の寿命である耐久性を大きく左右する注意点が存在します。
ここでは、特にDIY初心者がおろそかにしがちな3つのポイントを改めて解説します。
- ①外壁の洗浄をしっかりしておく
- ②下地処理と養生を丁寧にする
- ③焦りは禁物!塗料の乾燥時間を必ず守る
時間と費用を無駄にせず、後悔しないDIYを実現するために、これから説明する内容をしっかりと守りましょう。

①外壁の洗浄をしっかりしておく
外壁塗装で失敗しないための最初の重要ポイントは、塗装前の洗浄を徹底的に行うこと。
なぜなら、外壁の表面に付着したカビやコケ、ホコリなどの汚れは、塗料の密着を妨げる最大の原因になるからです。
洗浄が不十分なまま塗装を進めてしまうと、新しい塗料が汚れの層の上に乗っている状態になり、数年もしないうちに汚れと一緒に塗膜が剥がれ落ちてしまいます。
高圧洗浄機を使って、目に見えない細かな汚れまでしっかりと洗い流し、塗装面をきれいな状態に整えましょう。この洗浄作業を丁寧に行うことが、塗料本来の性能を引き出すための土台となります。
②下地処理と養生を丁寧にする
塗装の仕上がりと耐久性を左右するうえで、下地処理と養生は非常に重要な作業です。
ひび割れの補修や古い塗膜の除去といった下地処理が不完全だと、その上からどれだけ良い塗料を塗っても長持ちしません。数年で塗膜が剥がれたり、補修したはずのひび割れが再発したりする原因となります。
また、窓やサッシ周りの養生が雑だと、塗料がはみ出してしまい、見た目が非常に悪くなります。
時間はかかりますが、これらの地味な下準備をいかに丁寧に行うかが、プロと素人の仕上がりの差となって現れる部分です。焦らずじっくりと取り組みましょう。
③焦りは禁物!塗料の乾燥時間を必ず守る
DIYで外壁塗装を行う際、限られた時間で作業を終えようと、つい焦ってしまうことがありますが、焦りは禁物です。
特に、塗料の乾燥時間を守ることは絶対に怠ってはいけないルールです。
下塗り、中塗り、上塗りの各工程で、塗料メーカーが製品ごとに指定している乾燥時間を必ず確保しましょう。
前の塗装が十分に乾燥していない状態で次の塗装を重ねると、塗膜の縮みやひび割れ、密着不良といったさまざまな不具合を引き起こしかねません。これは塗装の耐久性を著しく低下させる原因です。
天候や気温によって乾燥時間は変わるため、仕様書をよく確認し、余裕を持ったスケジュールで作業を進めましょう。
【危険】高所作業は安全第一で行おう!
外壁塗装DIYにおいて、最も注意しなければならないのが高所作業の危険性です。
2階建て以上の建物では、どうしても高い場所での作業が必要となり、転落などの重大な事故につながるリスクが常に伴います。
費用を抑えたいという気持ちから安全対策をおろそかにすることは、命に関わる問題になりかねません。
安全な作業環境を確保するために、足場の必要性や、はしご・脚立を使用する際のリスクについて正しく理解し、安全を最優先に行動することが何よりも重要です。
はしごや脚立での作業に潜む転落リスク
足場を設置せずに作業しようとすると、はしごや脚立を使用することになりますが、これには大きな転落リスクが潜んでいます。
はしごや脚立の上では足元が不安定になり、両手が自由に使えるわけではありません。塗料の入った缶やローラーを持ちながらの作業はバランスを崩しやすく、非常に危険です。
また、作業できる範囲が限られるため、無理な体勢で遠くに手を伸ばした際にバランスを崩し、転落する事故も少なくありません。
たとえ低い高さであっても、打ちどころが悪ければ大怪我につながるため、決して無理な作業はしないようにしましょう。
足場なしのDIYで外壁塗装する方法
足場の設置には費用がかかるため、なんとか足場なしで外壁塗装をDIYできないかと考える人もいるでしょう。
平屋建ての建物や、塗装範囲が1階部分のみに限られる場合など、条件によっては足場なしでの作業も不可能ではありません。
その場合、以下のような方法が考えられます。
- 安定した場所に脚立を設置する
- 壁に立てかけるはしごを使用する
- 柄が伸縮するロングローラーを使用する
しかし、これらの方法は作業の安定性や安全性に欠け、仕上がりの品質も低下しやすくなります。
足場なしでのDIYは、あくまでも手の届く範囲の軽微な補修にとどめるべきです。
足場設置は業者に依頼できる
塗装作業は自分でやりたいけれど、高所での作業は不安という場合には、足場の設置と解体だけを専門業者に依頼するという選択肢があります。
これは足場レンタルとも呼ばれ、多くの足場業者が対応しています。
2階建てや3階建ての住宅はもちろん、平屋であっても屋根に近い軒天など、安全な作業スペースが必要な場合に非常に有効です。
費用はかかりますが、転落事故のリスクをなくし、安全性を確保できるメリットは計り知れません。安全な足場があれば、塗装作業に集中でき、仕上がりの品質向上にもつながります。
外壁塗装のDIYで『足場なし』をおすすめしない理由とは?
上述したように、DIYでの外壁塗装において足場を設置しない工事は可能ですが、安全面や品質面から決しておすすめできる方法ではありません。
プロの塗装業者が、費用と手間をかけて必ず足場を設置するには、それ相応の明確な理由があるからです。
単に作業者の安全を確保するだけでなく、下記のように足場が果たす役割は多岐にわたります。
- 作業効率の向上
- 仕上がりの美しさの確保
- 近隣への塗料飛散防止
ここでは、足場なしでのDIYをおすすめしない具体的な理由を解説します。
効率が悪くなるから
足場なしでの作業は、非常に効率が悪くなります。
安定した足場があれば、水平に移動しながらスムーズに塗装を進めることが可能です。
しかし、はしごを使う場合、一箇所を塗り終えるたびに一度地面に降り、はしごを少しずらして設置し直し、また登るという動作を繰り返さなければなりません。
この上下運動は時間も体力も大幅に消耗させ、作業全体のスピードを著しく低下させます。
また、不安定な体勢では丁寧な作業が難しくなり、塗りムラや塗り残しが発生しやすくなるなど、施工品質の低下にもつながるためおすすめできません。
美しく塗装できない恐れがあるから
足場がない状態では、高い場所での作業は不安定になり、無理な体勢で塗装せざるを得ません。
そうすると、ローラーや刷毛の動きが制限され、塗料を均一に塗ることが難しくなります。
結果として、塗りムラや液だれが発生しやすくなり、見た目の美しい仕上がりを期待することはできません。また、何度も同じ箇所を塗り重ねてしまうと、塗料の膜厚が不均一になり、本来の耐久性を発揮できない可能性も。
安全かつ美しく仕上げるためにも、安定した足場での作業が重要です。
周囲に塗料が飛散しやすくなるから
足場を設置しない場合、塗料や洗浄時の汚水が周囲に飛散しやすくなるのも、おすすめできない大きな理由の一つです。
プロの施工では、足場の外側をメッシュシートで覆うことで、塗料などが近隣の住宅や駐車している車に飛び散るのを防いでいます。
しかし、足場がなければ、この飛散防止シートを設置することができません。特に、高圧洗浄時の汚れた水や、風の強い日の塗装作業では、予期せぬ範囲まで塗料が飛散する可能性があります。
これが原因で、ご近所との思わぬトラブルに発展するケースも少なくないため、十分な飛散防止対策ができない足場なしの施工はリスクが高いと言えます。
まとめ
今回は外壁塗装をDIYで行う手順や方法、失敗しないためのポイントについて解説しました。
この記事の重要なポイントをまとめると、DIYのメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
- ①費用を抑えられる
- ②悪徳業者に騙されなくて済む
- ③好きなタイミングで塗装できる
【デメリット】
- ①時間と手間がかかる
- ②危険が伴う
- ③塗装不良を起こしやすくなる
- ④失敗するリスクがある
外壁塗装をDIYする際は、以下の10ステップを参考に丁寧に進めることをおすすめします。
- 【ステップ1】足場の設置
- 【ステップ2】高圧洗浄機で外壁の汚れを除去
- 【ステップ3】塗料の飛散を防ぐための養生
- 【ステップ4】ひび割れなどを下地処理で補修
- 【ステップ5】塗料の密着度を上げる下塗り
- 【ステップ6】1回目の上塗りとなる中塗り
- 【ステップ7】仕上げの工程である上塗り
- 【ステップ8】塗装が乾いたら養生を除去
- 【ステップ9】足場の解体
- 【ステップ10】後片付けと最終チェック
なお、塗料は外壁材や目的に合わせて適切な種類を選び、特に「洗浄」「下地処理・養生」「乾燥時間」の3点は仕上がりを左右する重要ポイントですので、おろそかにしないようにしてくださいね。
外壁塗装のDIYは、うまくいけば大きな費用削減につながる可能性がありますが、それ相応の時間と手間、そしてリスクが伴います。
この記事を参考に、メリットとデメリットを十分に理解したうえで、自分にできる範囲かどうかを慎重に判断してください。
少しでも不安な点や難しいと感じる作業があれば、無理をせず専門業者に相談することも賢明な選択です。高所作業は危険なため、2階建て以上は足場の設置を専門業者に依頼することをおすすめします。 安全を第一に考え、満足のいく外壁塗装を実現させましょう。








































